📌 この記事のポイント
対人賠償保険は事故で相手をケガ・死亡させた場合の損害を、対物賠償保険は相手の車や物を壊した場合の損害を補償します。どちらも「無制限」で加入するのが基本。自賠責保険だけでは全然足りないため、任意保険でしっかりカバーすることが重要です。
この記事はこんな方向けです:
- ✓ 対人賠償・対物賠償の違いをはっきり理解したい
- ✓ 自賠責保険でどこまでカバーされるのか知りたい
- ✓ 「無制限」にすべきか迷っている
- ✓ 実際にどんな事故でいくらかかるのか知りたい
対人賠償保険とは
対人賠償保険は、交通事故で相手の人(歩行者・相手の車の乗員など)を死傷させた場合に、治療費・慰謝料・逸失利益・葬儀費などを補償する保険です。
自賠責保険でカバーしきれない超過分を支払うのが対人賠償保険の役割です。
自賠責保険の補償上限
| 損害の種類 | 自賠責の上限 |
|---|---|
| 傷害(ケガ) | 120万円 |
| 後遺障害(1級〜14級) | 75万〜4,000万円 |
| 死亡 | 3,000万円 |
なぜ自賠責だけでは足りないのか
実際の裁判では、以下のような高額判決が出ています。
| 年度 | 被害者 | 賠償額 |
|---|---|---|
| 2011年 | 41歳男性・後遺障害 | 5億2,853万円 |
| 2013年 | 21歳男性・後遺障害 | 3億9,725万円 |
| 2009年 | 30歳男性・死亡 | 3億5,978万円 |
| 2016年 | 50歳男性・後遺障害 | 3億3,090万円 |
自賠責の上限3,000万〜4,000万円では、賠償額の1割もカバーできないケースがあるのです。
もし対人賠償保険に加入していなければ、残りの数億円はすべて自己負担。家を売っても足りない金額です。
💡 だから対人賠償は「無制限」が必須なのです。「1億円」と「無制限」の保険料差は年間わずか数百円。ここで悩む必要はありません。
対物賠償保険とは
対物賠償保険は、交通事故で相手の車・バイク・建物・ガードレール・電柱など「モノ」を壊した場合の修理費・損害を補償する保険です。
「対物」は車だけじゃない
対物賠償が適用される範囲は想像以上に広いです。
| 対象 | 具体例 |
|---|---|
| 相手の車 | 追突した相手の車の修理費 |
| 建物・施設 | 店舗・住宅・塀・フェンスなどへの突入 |
| 公共物 | ガードレール・信号機・電柱・標識 |
| 踏切関連 | 踏切設備の損害・電車の遅延損害 |
| 積荷 | トラックの荷物の損害 |
| 営業損失 | 店舗が営業できなくなった場合の逸失利益 |
対物事故の高額判例
| ケース | 賠償額 |
|---|---|
| 踏切事故による電車の遅延損害 | 1億2,036万円 |
| パチンコ店への衝突 | 1億3,580万円 |
| 呉服店商品の損壊 | 1億1,347万円 |
| 高級外車への追突 | 2,450万円 |
踏切事故で電車を止めてしまった場合、運休・遅延による損害賠償が1億円を超えることがあります。これは対物賠償でカバーされます。
💡 対物賠償も「無制限」が基本です。 「1,000万円」や「2,000万円」の設定では、上記のような事故に対応できません。
対人・対物賠償の補償範囲
対人賠償で支払われるもの
| 費目 | 内容 |
|---|---|
| 治療費 | 入院・手術・通院にかかる医療費 |
| 休業損害 | ケガで仕事ができなくなった期間の収入補填 |
| 逸失利益 | 後遺障害や死亡で将来得られなくなった収入 |
| 慰謝料 | 精神的苦痛に対する補償(入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料) |
| 葬儀費 | 被害者が死亡した場合の葬儀関連費用 |
| 介護費 | 後遺障害で介護が必要になった場合の将来の介護費用 |
対物賠償で支払われるもの
| 費目 | 内容 |
|---|---|
| 修理費 | 壊した物の修理にかかる費用 |
| 時価額 | 修理不能(全損)の場合の時価相当額 |
| 代車費用 | 相手が車を使えない期間のレンタカー代 |
| 休業損害 | 営業車や店舗が使えない期間の営業損失 |
| 評価損 | 修理後も車の価値が下がった分の損害 |
過失割合と賠償額の関係
交通事故では、必ずしもどちらか一方だけが悪いわけではありません。過失割合に応じて賠償額が決まります。
過失割合の例
| 事故パターン | 過失割合(A:B) |
|---|---|
| 信号無視による衝突 | 100:0 |
| 追突事故 | 100:0(原則) |
| 右折車と直進車 | 80:20(基本) |
| 交差点での出合い頭 | 50:50(基本) |
例:過失割合80:20で相手の損害が500万円の場合
- あなたの支払い:500万円 × 80% = 400万円
- 対人(または対物)賠償保険から支払われる
過失割合が0%(完全なもらい事故)の場合は、あなたの保険会社は示談交渉に介入できません。このとき役立つのが弁護士費用特約です。
対人・対物賠償の注意点
1. 家族は対象外
対人賠償保険は、被保険者の家族(配偶者・同居の親族・別居の未婚の子)には適用されません。 家族のケガは人身傷害保険でカバーする必要があります。
2. 自分自身は対象外
対人賠償は「相手」を補償するもの。自分のケガは対象外です。自分の補償には人身傷害保険が必要です。
3. 自分の車は対象外
対物賠償は「相手のモノ」を補償するもの。自分の車の修理費は対象外です。自分の車は車両保険でカバーします。
4. 示談交渉サービスの重要性
任意保険に加入していれば、保険会社が示談交渉を代行してくれます。個人で億単位の賠償交渉をするのは現実的ではありません。示談交渉サービスは、保険料だけでなく精神的な負担も軽減してくれます。
よくある質問
Q. 対人賠償を「5,000万円」や「1億円」に設定してもいいですか?
おすすめしません。「無制限」との保険料差は年間数百円です。万が一の事故で数億円の判決が出たとき、上限を超えた部分はすべて自己負担になります。わずかな保険料の節約のために、人生を狂わせるリスクを負う必要はありません。
Q. 対物賠償の「対物超過修理費用特約」とは何ですか?
事故で壊した相手の車の時価額を超える修理費を補償する特約です。たとえば相手の車の時価が30万円でも、修理費が80万円かかる場合があります。通常の対物賠償では時価額(30万円)までしか支払われませんが、この特約があれば修理費の差額もカバーされます。示談がスムーズに進みやすくなるため、つけておくとよいでしょう。
Q. 物損事故と人身事故で補償はどう変わりますか?
物損事故(ケガ人なし)では対物賠償のみが使われます。人身事故(ケガ人あり)では対人賠償と対物賠償の両方が使われる可能性があります。人身事故のほうが賠償額は格段に大きくなるため、対人賠償の重要性は特に高いです。
Q. 自賠責保険に入っていれば対人賠償は不要ですか?
不要ではありません。自賠責保険は死亡で最大3,000万円、後遺障害で最大4,000万円が上限です。実際の判決では3億〜5億円を超えるケースがあり、自賠責だけでは圧倒的に足りません。
まとめ
対人賠償と対物賠償は、自動車保険の最も基本的で最も重要な補償です。
押さえておきたいポイント:
- 対人賠償:相手のケガ・死亡を補償。「無制限」が必須
- 対物賠償:相手の車・建物・公共物を補償。「無制限」が基本
- 自賠責保険だけでは高額賠償に対応できない
- 家族や自分のケガ・自分の車は別の補償(人身傷害・車両保険)でカバー
- 「無制限」にしても保険料の差はごくわずか
まずは見積もりで確認しましょう
対人・対物「無制限」は当然として、その他の補償をどう組むかで保険料は大きく変わります。
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